ユーザーとの最適なコミュニケーションを実現するため、「LINE DATA SOLUSION」ではLINE公式アカウントやLINE広告をはじめとした各サービス横断でのデータ連携を推進している。
データ連携によって実現するメリットの一つとして、ユーザー一人ひとりに対して最適なサービス・情報提供を可能とする「LINE APIを使ったID連携」を事例とともに紹介する。
LINEのAPIを活用したID連携とは
LINEのAPIを活用したID連携では、企業が保有する自社の顧客情報とユーザーのLINEアカウントを紐付けることで、一人ひとりに対して最適な顧客体験が提供できるようになる。
例えば、ある企業が保有する顧客情報とユーザーのLINEアカウントを連携した場合、以下の図のようにユーザーAやBの「企業が管理する情報」と「LINEのユーザー情報」を紐付けて管理することができる。
ID連携によって何ができるか?
ID連携を実施することにより、紐付けたデータを参照し、特定のユーザーに対してLINE公式アカウントからのメッセージ配信、各種サービスの提供が可能になる。
LINEのAPIを使ったID連携の導入方法
このID連携を実現するためには、LINEが提供するAPI「LINEログイン」もしくは「Messaging API」を活用する必要がある。
LINEログイン:LINE公式アカウントからID連携を行う
LINEログインでのID連携方法の一つに、LINE公式アカウントのリッチメニューやメッセージ配信などから専用のサービスログイン画面に遷移させる方法がある。
ユーザーのLINEアカウントを利用してWebサイトやサービスにログインできる機能で、ユーザーの利便性を高めつつ、自社の顧客情報とLINEアカウントを紐付けることができる。
ID連携時に必要なユーザー認証・認可は、ユーザーとLINEの間で直接行われるため、LINEログインを組み込むWebサイトやサービス側で別途、認証・認可の機能を実装する必要がなくなる。
LINE公式アカウント内のリッチメニューやメッセージ配信でLINEログインを使ったログインページへのリンクを案内するなどでユーザーのID連携数を増やしていく
LINEログイン:ソーシャルログインでID連携を行う
LINEログインをソーシャルログイン機能として活用し、Webアプリやネイティブアプリ(iOS、Android)のログインや会員登録時にID連携を促す方法もある。
ユーザーは使い慣れたLINEアカウントを利用し、入力などの手間をかけずにアプリにログインできるため、新たなIDとパスワードを覚える必要はない。
ソーシャルログイン機能を導入したWebアプリのログイン画面イメージ(https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/bookwalker/)
Messaging API:LINE公式アカウントからID連携を行う
Messaging APIは、LINE公式アカウントと友だちになっているユーザーとコミュニケーションをとるためのAPIで、特定のユーザーに対するメッセージ配信や表示するリッチメニューをユーザー単位で切り替えることができる。
LINEログインでID連携を促す場合、WebアプリごとにLINE DevelopersコンソールでLINEログインの設定が必要になるが、Messaging APIの場合、サービス単体でID連携が実現する。
具体的には、LINE公式アカウント内でユーザーに連携用のURLを案内し、ID連携用のサービスログインページに遷移させる。連携URLを発行したユーザーと実際に連携したユーザーが同一かどうかの検証はLINE側で行う。
また、ID連携機能を使う場合は、以下の2点を遵守する必要がある。
・ユーザーにID連携の解除機能を必ず提供すること
・ユーザーがID連携する時、連携解除機能があることを通知すること
Messaging APIでは、LINE公式アカウントで設定するリッチメニューをユーザー単位で切り替えることができるため、例えば、ID連携していないユーザーにはID連携するメニューを表示させ、ID連携済のユーザーには連携を解除するメニューを表示するなどで上記の問題はクリアできる。
※詳細はLINE Developersのドキュメントをご参照ください。
※「Messaging API」は、LINE公式アカウントを通じたユーザーとの双方向コミュニケーションを実現する、LINE株式会社が提供するAPI(Application Programming Interface)です。Messaging APIを活用することで、ユーザーへの一方的なメッセージ配信だけでなく、特定のユーザーに対してより最適化されたメッセージを送り分けることができるようになります。さらに、ユーザーの同意のもと、企業の持つ既存のデータベースや自社システムとLINE公式アカウントを連携させることで、顧客管理(CRM)ツールや、業務ソリューションツールとしての利用も可能になります。 (※LINE株式会社では、LINE公式アカウントに紐付いた各企業の顧客データを保持することはありません。)
LINEのAPIを使ったID連携で実現できる顧客体験
ID連携により、企業が保有する自社の顧客情報とユーザーのLINEアカウントを紐付けることで、その先にどんな活用法があるのか、実際の事例を紹介する。
メッセージ配信のパーソナライズ
自社の顧客情報とLINE アカウントを紐付けることで、LINE公式アカウントからユーザーごとにパーソナライズされたメッセージを配信することができる。自社でユーザーの属性情報(年齢、性別、居住地など)を保有している場合、これらの属性情報をもとにLINE公式アカウントからターゲットを絞ったメッセージを配信することで、配信効果の向上やユーザーの利便性向上に期待できる。
Case. ロクシタンジャポン株式会社
ユーザーデータの取得とCRM基盤の構築が進んだロクシタンジャポン株式会社では、「Messaging API」を活用してECサイトでの商品購買を促す効果的なメッセージ配信が可能になった。
例えば、新規購入や購入回数が少ないライトユーザーに対しては商品の背景にある企業の思いや商品を使用する時期や必要性などの情報を伝え、ロイヤルユーザーに対しては数量限定商品の案内やリマインダー訴求を中心に配信。月に4回程度の頻度でメッセージの内容と対象分けて配信することで、配信経由のEC売上が5倍以上に成長した。
ライトユーザー向け(左)とロイヤルユーザー向け(右)に配信したメッセージ内容(https://www.linebiz.com/jp/case-study/loccitane2/)
サービス上でのユーザーアクションをトリガーとしたメッセージ配信
ID連携により、Webサイトやサービス上でのユーザーアクション(閲覧や購入、予約など)をトリガーとしたメッセージ配信も可能になる。
例えば、ECサイトのショッピングカートに商品を入れものの、購入せずに離脱したカゴ落ちユーザーに対して、リマインドメッセージや再入荷のお知らせなどを配信する方法がある。
Case. 株式会社QVCジャパン
株式会社QVCジャパンでは、LINE公式アカウントとともに、ソーシャルログイン機能としてLINEログインを導入して友だち数とID連携数を増加させてきた。その後、ID連携済のユーザーに対して、購入履歴に基づくセグメント配信や「カゴ落ち」防止のメッセージを配信。
結果、LINE公式アカウント経由のECサイト新規会員登録数は約3.5倍。QVCのLINE公式アカウントの友だち追加数は、1日あたり約4倍にまで伸長した。また、各種セグメント配信の結果、ECサイトの売り上げが導入前と比べて126%アップしている。
当日、商品をカートに入れたものの購入しなかったユーザーに送る「カゴ落ち」防止のメッセージ(https://www.linebiz.com/jp/case-study/qvc/)
LINE公式アカウント上でのサービス提供
LINE公式アカウント上のユーザーアクション(メッセージ配信など)をトリガーとして、ユーザーに自社のシステム上で保有する顧客情報が提示できる。
ユーザーはWebサイトやサービスにアクセスしてログインしなくても、LINE公式アカウントのトーク画面上で必要な情報を手軽に確認できるようになる。
Case. 株式会社三井住友銀行
株式会社三井住友銀行では、ID連携済のユーザーに対し、LINE公式アカウントから「残高照会」と「入出金明細紹介」が閲覧できる機能を提供している。
残高照会(左)と入出金明細紹介(右)で配信されるメッセージ内容(https://www.smbc.co.jp/sns/line/service.html)
Case. ロクシタンジャポン株式会社
自社のポイントカードや会員証を管理するシステムのIDとLINEアカウントを連携することで、LINE上でポイントカードや会員証といったサービスを提供することもできる。
ロクシタンジャポンでは、Messaging APIを活用してLINE公式アカウント上でデジタル会員証サービスを提供。Messaging APIの機能であるLIFF(LINE Front-end Framework)を活用し、LINEのトーク画面上に会員カードを表示させている。
LINE公式アカウントのトーク画面上に表示される会員カード(https://www.linebiz.com/jp/case-study/loccitane/)
ID連携の実現によって、企業が保有する資産である顧客情報の活用、収集を行いながら、ユーザーに対する利便性向上、コミュニケーションの最適化といったメリットが提供できる。LINEでは、データ活用を通じて広告主とユーザー双方に対して最適で最良なコミュニケーションを支援している。