「コミュニケーションアプリ『LINE』の特性を生かし、企業や店舗がユーザーと『友だち』になることで、継続したコミュニケーションを可能にする――」
これは、「LINE公式アカウント」のサービス概要だが、これまで、LINE公式アカウントの運用における成果指標として可視化できたのは、友だち数(ターゲットリーチ数)やメッセージ配信のCTRなどの情報に限られていた。
果たして、LINE公式アカウントがどれほど実際の購買に貢献しているのか。また、どんな施策内容が効率的なのか。この疑問に対する解決策の一つとして、アサヒ飲料株式会社(以下、アサヒ飲料)が実施した「購買リフト調査」の結果を紹介する。
調査概要
アサヒ飲料が取り組んだ「購買リフト調査」は、現状のターゲットリーチの属性を正確に把握するとともに、LINE公式アカウントで展開している施策の効果測定を目的に実施された。
LINE公式アカウントのターゲットリーチ(ブロックしていない友だち数)と非ターゲットリーチを比較対象に、商品「三ツ矢サイダー」について下記の3項目を調査した。
① どのような人か(性別・年代別)
② アサヒ飲料の商品をたくさん買う人か(顧客としての有望度・購買寄与)
③ 「友だち」になっている期間で購入に差はあるか(継続施策の価値・購買寄与)
調査は、LINE社が保有するデータと調査会社である株式会社インテージが保有するモニターをマッチングさせることで、ターゲットリーチを判別。全国の15~79歳までの男女を対象に、2020年7月~2021年6月まで継続して集計された。
LINE公式アカウントのターゲットリーチは、商品をたくさん買っているか?
調査結果から、本記事では購買効果という点に注目して上記調査項目の②と③についての結果を紹介する。
LINE公式アカウントの友だちは「三ツ矢サイダー」を買っているのか?
最初に商品購入率と100人あたりの使用金額を、ターゲットリーチと非ターゲットリーチで比較した。それぞれ、商品購入率は124%、100人当たりの使用金額は131%と、ターゲットリーチが非ターゲットリーチを上回る結果となった。
性別・年代別の結果
続いて、100人当たりの使用金額について、年齢別にターゲットリーチと非ターゲットリーチで比較した。全ての層で、ターゲットリーチが非ターゲットリーチを上回り、特にT層、M2層、F2層の数値が高く、最大ボリュームゾーンのF2層で非ターゲットリーチ比率は137%を記録した。
「友だち」になっている期間で購入に差はあるか?
最後に友だち追加してからの期間別に、再び商品購入率と100人あたりの使用金額を、ターゲットリーチと非ターゲットリーチで比較した。
非ターゲットリーチに比べ、ターゲットリーチの購入率はいずれの期間も102%~126%と上回った。使用金額についても、友だち追加から181日~365日のターゲットリーチは非ターゲットリーチの71%と下回ったが、他期間は122%、139%と高い数値を記録している。
・ ターゲットリーチの商品購入率や使用金額は一般ユーザーよりも高い
・ 年齢別の使用金額についても、全体的にターゲットリーチが優れ、長年にわたり愛されている商品ブランドという特長もあり特に30歳以上の年代について高い数値を記録
・ アカウントへの期待や感度が高い期間と考えられる90~180日、期待や感度が定着したと考えられる366日以上での購入率、使用金額についても購買リフトが確認できた
今回の調査では、企業のマーケティング戦略において至上命題ともいえる購買寄与の可視化に成功した。同時に、LINE公式アカウントは購買促進メディアとしての新たな可能性を示すことができた。
今後、さらに踏み込む形で、「友だち期間の年数別」「メッセージ配信における購買リフトの可視化」「購買リフトが確認できたユーザーセグメントのライフスタイルや価値観・家族構成」などを可視化していく予定だ。