2023.08.24
コラム

「量」よりも「質」へ。いかにして親和性の高い友だちを獲得するか? ——フォルクスワーゲン×電通デジタルの取り組み

 

フォルクスワーゲングループジャパン株式会社(以下、フォルクスワーゲン)が運営するLINE公式アカウント「Volkswagen Japan」では、新規で追加された友だちの定着率に課題を抱えていた。そこで、株式会社電通デジタル(以下、電通デジタル)は課題解決のため、LINE DATA SOLUTIONを用いて現在の友だちを分析。得られたデータをオーディエンスに反映し、LINE広告の「友だち追加」を実施した。施策の概要や結果について、電通デジタルの担当者に話を聞いた。

 

※LINE DATA SOLUTIONで活用できるデータは、ユーザーの許諾取得済みのデータのみとなります。

LINE DATA SOLUTIONを用いた友だち診断

2019年4月、フォルクスワーゲンはLINE公式アカウント「Volkswagen Japan」を開設し、友だち追加したユーザーに対し、新型車種の紹介や試乗イベント案内などを定期配信している。開設直後にLINEプロモーションスタンプなどを活用して友だちを集め、現在、その数は230万人(2023年7月時点)を超える。しかし、LINE公式アカウントの開設から数年間の運用を経て、いくつかの課題が顕在化するようになった。

LINE公式アカウント「Volkswagen Japan」

フォルクスワーゲンのデジタル広告施策を担当してきた電通デジタルの遠藤周氏は、その経緯を以下のように語る。

 

「LINE公式アカウントの開設後、LINEスタンプやキャンペーンなどのインセンティブ施策で友だちを集めたこともあり、局所的に友だち数が減少してしまったり、ブロック率が上がってしまうなどの弊害があったようです。つまり、多くの企業さまが抱えるように、フォルクスワーゲンさまもまた、友だちの定着率という課題が浮き彫りになっていました」(遠藤氏)

株式会社電通デジタル 戦略アカウントプランニング部門 メディアプランナー 遠藤 周氏

2022年初頭、フォルクスワーゲンは電通デジタルに対し、「長期的に残ってくれる質の高いユーザーを、友だちとして獲得していきたい」との相談を持ち掛けた。そこで、遠藤氏はLINEのデータ分析ソリューションであるLINE DATA SOLUTIONを用い、現存するLINE公式アカウント内の友だちの属性や挙動を深堀していった。

「量」から「質」へ方針を転換

今回の分析では、LINE公式アカウントの友だちについて、どんな経路・特徴のユーザーの残存率が高いのかを明らかにしていった。

 

「調査以前からLINE広告の『友だち追加』を配信していたのですが、例えば、広告で獲得した友だちの中でも、30〜50代の男性は8割近くが友だちとして残り続けていることが分かりました。全体ユーザーの残存率と比較すると、非常に高い数値と言えます。さらに、その中でも収入上位層やビジネス関心層がLINE公式アカウントとの親和性が高いことも判明しました」(遠藤氏)

 

これまで、LINE公式アカウントの管理画面(分析機能)では、広告施策で獲得したユーザーがどんな特徴を持ち、どのくらいの期間、友だちとして残っているかを数値として把握することはできなかった。しかし、LINE DATA SOLUTIONを活用することで残存率だけでなく、残っている友だちがどんな興味・嗜好を持っているかを可視化することができる。

 

遠藤氏とともにデータ分析を担当した馬氏は、「データを根拠にすることで、その先の対応や施策を検討でき、よりユーザーにとっても最適なアプローチをすることができる」と話す。

 

「フォルクスワーゲンさまの場合、LINE公式アカウントの開設初期に一定数の友だちを集客するためにインセンティブを活用した獲得施策を実施し、そこからできるだけ多くの人に残ってもらう――という施策を展開されてきました。しかし、今回の友だち分析で長期間にわたってLINE公式アカウントに残ってコンテンツを見てくださるユーザー、つまり質の高いユーザー層が把握できるようになりました。そこで、今後の広告配信は質の高いユーザー層に絞ってアプローチをするという、新たな施策を提案するに至りました」(馬氏)

株式会社電通 データ・テクノロジーセンター データアナリスト 馬 容容氏

根拠のある類似拡張で高い「残存率」を保持

2023年1〜2月、分析結果を基に再び友だち追加のための広告配信を実施。前回はLINE広告のデフォルトのセグメントを中心に配信していたが、今回から前述した「LINE公式アカウントと親和性の高い層」をオーディエンスとした類似セグメントを追加し、獲得効率の改善を図った。

 

「具体的には、LINEユーザーの中から設定条件に類似したユーザーを探し出し、その人に広告を配信する施策を実施しました。広告配信後、前回と同様に友だちの調査を行い、『①自動車関心層でセグメントしたオーディエンス(デフォルト機能)』『②LINE公式アカウントの既存友だちの類似配信』『③友だちの中でも、コンバージョン(クリック)まで到達したユーザーの類似配信』の3セグメントを比較し、効果測定しました」(遠藤氏)

 

LINE公式アカウントでのコンバージョン(クリック)を紐付けた③のセグメントでは、LINE DATA SOLUTIONのオーディエンス共有機能を活用した。

 

「配信は獲得効率に優れたセグメントに予算を寄せていく設計でしたが、最も配信規模が大きかったのが③のセグメントで、全体の配信規模の3分の2を占めるほどに伸長しました。さらに、最もCPAが抑えられ、友だち追加率(獲得効率)も高く、獲得効率では②のセグメントと比較すると2倍ほどの結果となりました。LINE DATA SOLUTIONでフォルクスワーゲンさまと親和性の高いユーザーをデータで可視化し、分析後、時間をあけずにその後のアプローチにもつなげることで、しっかり獲得効率の改善を図ることができました。フォルクスワーゲンさまの情報が欲しい――と思っているユーザーへ適切に届いた結果だと思います」(馬氏)

 

「LINE DATA SOLUTIONの活用で、レポートの数値はすぐに改善されていきました。当初の課題だった残存率で見ても、友だち追加後2週間の比較でいずれのセグメントでも良好な結果が出たことに加え、1カ月でも大きな低下は見られませんでした。特に③のセグメントは残存率がほとんど下がらず、いまだ高推移を保っています。残存率の数値は獲得経路によって異なりますが、広告での獲得にも関わらず高い数値を保てているのは大きな成果と捉えています」(遠藤氏)

LINE DATA SOLUTIONの活用により、友だちの分析で仮説を立て、その仮説を広告配信という結果で実証することができた。フォルクスワーゲンからも「データを用いてフォロワーの属性を可視化しながら配信できるようになった」ことに対し、高い評価を受けた。

 

「フォルクスワーゲンさまの担当者からは、今後もこのような分析・診断を継続していきたいとの要望をいただきました。業界を問わず、データ活用に関する関心は年々高まっています。LINE公式アカウント運用も例外ではなく、データを駆使した配信設計が重要になっていると感じます」(馬氏)

 

さらに直近では、LINE DATA SOLUTIONの活用がLINE公式アカウント以外の領域にも広がっている。LINE公式アカウントにおけるコミュニケーションの中で得られたデータを車両の広告配信にも連携することで、より精度の高い配信が実現する。

 

「今後も定期的な分析で獲得効率の良いセグメントをチェックしながら、LINE上で行われるコミュニケーションの全体最適を図っていきたいです」(遠藤氏)

ビジネスマネージャーの利用について

LINE DATA SOLUTIONの一つであるビジネスマネージャーでは、「LINEやパートナー企業、クライアント企業が持つデータを収集・統合し、データ管理・データ分析・オーディエンスの共有や作成に活用できるデータ活用基盤」として、詳細なオーディエンス拡張にも活用できる。
 

※ビジネスマネージャーで利用できるデータはユーザー許諾取得済みの情報のみとなります。

(公開:2023年8月、取材・文/安田博勇、写真/小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です


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